相続全般の相談

知識を整理することが「争族防止」につながる。

42.87パーセント。令和元年度の裁判所で審判された相続紛争のうち、資産の合計額が1,000万円以下の審判の割合です。これは現金だけでなく、自宅などの不動産も含めて相続財産全体額の合計です。

1000万円は凄い金額ですが、わざわざ裁判所で争う金額としては意外と少ないと感じるのではないでしょうか。しかも1000万円「以下」なのですから、数百万円の相続財産の事案も当然含まれるわけです。

時間と労力をかけて、遺産分割の審判をするには、割に合わない事案も数多く含まれることでしょう。このことから分かるのは「相続争いは合理性ではなく、感情で争っている」ということです。なので、お金持ちだけが相続争いになるわけではありません。

ほかの相続人との間での財産の分配の話し合い「遺産分割協議」。この遺産分割協議の前に「心の準備」はしておくべきです。なぜなら相手に思ってもいない反応をされても自分が過剰反応しなくてすむから。過剰反応しなければ、争いの火が大きくなってしまうことを防ぐことにつながります。

相続を難しくする最大の理由は・・・・

しかし世の中でこんなにも相続での行き違いが起きるのはなぜでしょうか。もちろん、相続人が不公平と感じたり、そもそも兄弟間の仲が悪かったりと家庭によって事情はさまざまです。しかし、そもそもの相続のルールで非常に話し合いが成立しにくい部分があるのです。

それは、「遺産分割協議は相続人全員の意見が一致しなければならない。」ということです。遺言や信託などで生前対策をしていない場合、この「全員一致ルール」に則って遺産分割協議が行われます。

一見、当たり前のことも思うかも知れません。しかし考えてみると、会議体で全員の一致というのは一番ハードルが高い状態です。この最高に高いハードルがデフォルトなのですからかなり厳しいとも言えます。他の会議と比較してみても、会社の株主総会やマンションの管理組合の総会は過半数が基本で、決議する内容によって3分の2が必要になったりする。内容次第で難易度を変えているのです。

遺産分割協議は内容に関わらず全員の同意が必要。相続人の人数がたくさんいても関係ありません。長年相続をほったらかしにしておくと、相続した人が亡くなって更に相続が発生することがあります。これが積み重なると相続権を持つ人が数十人になることもありますが、それでも全員同意です。

もう相続人同士はほとんど赤の他人だし、住んでいる場所が全国に散らばっていても全員同意です。また誰か連絡が取れなかったり行方不明でも、本人が認知症で話し合いなんてできなくても全員同意です。

この場合は失踪宣告、不在者財産管理人や成年後見人の選任など、裁判所を通じて法律手続きをとって代理人を選ぶ必要があります。そして、この全員同意規定は感情的な対立をまねく根本原因にもなってきます。自分は正しいことを言っていても1人が違う主張をしたら遺産分割協議は成立しません。例えそれがあなたにとってどんなに理不尽な主張でもです。

そして、そんな人の同意も必要だという法律的事実。ここに人はものすごくストレスを感じ、相手へのあたりもきつくなり、無用な感情的な対立を招いてしまいます。しかし、最初から全員の同意が必要なことをしっかり念頭において話し合った場合はどうでしょうか。

相手が自分と違う主張をすることや、その相手の合意が必要なことは最初から想定の範囲内にしておくのです。なので、このルールをきちんと意識しておくだけでも、余計なストレスや相続のいざこざは大分軽減されると考えます。

各士業の紹介

相続の相談先として思いつくのが弁護士さんなどの士業ではないでしょうか。しかし、いざ相談しようと思うとどの人に相談するか分からないものです。

ここでは相続に関する主要な士業である弁護士、司法書士、税理士についてどんな状況であればどの士業に相談すべきか、ご紹介したいと思います。

弁護士

弁護士さんはもちろん相続の専門家です。そして、これは私自身が司法書士でもあるから言えるのですが、法律職としての能力は司法書士より明確に高いです。司法書士にできて弁護士さんがやらないのは登記くらい。ほかは全て弁護士さんが上です。

なので、なんでも弁護士さんに相談しておけば良さそうな気はしますが実際はそうはいきません。なにが問題なのか?能力が高すぎるのです。能力が高すぎるゆえに弁護士さんが登場すると他の相続人は非常に警戒します。警戒が不安になり、不安が不信になり、不信からあなたがやることなすこと全部を疑うことになりかねません。

どれだけあなたが正しい法律的知識を得て、誠実に問題を解決しようとしても相手に変な先入観があったらそれは伝わりません。むしろ頑張れば頑張るほど計画的に自分が得するよう行動しているように見られてしまいます。もめてない時に弁護士さんに相談すると、かえってもめる原因になってしまいます。

しかし、相手方の対立している・対立が避けられないときは弁護士さんに相談しましょう。この場合は、弁護士さんにあなたの代理人として解決してもらうのが良いと思います。

司法書士

司法書士の相続での直接的な出番は、不動産の名義変更(相続登記)です。また相続登記に使用する遺産分割協議書などの書類作成業務も出来ます。それ以外にも、相続した預貯金の払い戻し業務なども任せることができます。

預貯金はじめ各種の払い戻し手続きは数人の相続人がいると複雑になったり、互いのコミュニケーションも必要なため、このような手続きを任せられるのは思いのほか意味が大きいです。

また、なにせ名前に「司法」と入るぐらいですから相続、民事法規の知識も十分にあり基本的な税務知識も備えていることが多いです。相手方との対立が無かったり、まだ明確でない時は、良い相談相手になります。

税理士

相続税の申告が必要なときは税理士さんに代理申告をしてもらうことになると思います。ただ相続税は一定の財産がないと発生せず、相続財産額が3000万円+(相続人の数×600万円)までは基礎控除額といってかかりません。ここを超える時は、税理士さんに相談しましょう。あなたの状況に合わせて使えそうな特例措置等を提案してくれ、可能な限り相続税を抑える努力をしてくくれます。

当社では、みなさまの状況に合わせて各士業のご紹介もしております。ご紹介料は発生しません。お気軽にご相談ください。

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