家系図の用意

日本は戸籍制度がしっかりした国。現行法では戸籍の保存期間は150年。そして、保存期間を過ぎても実際には保管されているケースも珍しくありません。

この戸籍制度のおかげで、日本では相続が発生した時に誰が相続人であるか明確に調べることができます。また戸籍によるメリットは相続人の確定だけではありません。家系図を作成する場面でももちろん生かせます。「家系図なんてうちは普通の家だし・・・」と思われる方も多いでしょう。

しかし、相続でどのみち戸籍は集めますし、終活時点で集めた戸籍も古い時代の戸籍はそのまま相続に活かせます。どうせなら、終活しながら家系図を作成し、相続人を改めて把握しながら終活を進め、そのまま相続につなげる流れもいいかも知れません。

戸籍は江戸時代の生まれの人の記録が残っていることも普通です。誰でもかなり前まで、自分のルーツを探ることができるでしょう。とはいえ大げさに家系図なんて作ってそんなにいいことがあるのか?そう思われる方向けに家系図を作るメリットについてご紹介します。

家系図を作成するメリット

家系図を作ることにはどんなメリットがあるのでしょうか。一緒に見ていきましょう。

1 自分のルーツ探し

終活は自分が亡くなった後に備えると同時に、自分の人生を振り返る作業でもあります。若いころは気にならなかった自分の前世代の人たちはどんなところに住んでいて、どんなところにゆかりがあり、またいつ頃上京などの人生の転機を迎え、いつ結婚し、自分の両親はどこで生まれたのか・・・。こういうことを知りたいと思うようになるのはあなただけではありません。多くの人にとってそうです。

戸籍は、こういうことが正確に記録されているのがメリット。おじいさんおばあさんの生年月日はもちろん、記録が保存されていればおよその生まれた場所やそこにどれくらい住んでいたのかなどの記録が追えるのです。

2 次世代に自分の家の記録を残す。

明治、大正、昭和、平成、令和・・・。戸籍には4つの時代が記録されています。

明治時代に大人になっていた人の記録もあるため江戸末期・・つまり坂本龍馬や西郷隆盛が活躍していた時代の人の記録も見れるかも知れません。歴史上の偉人と同時代に生きていた自分に連なる人たちは何という名前だったのか。そういうことを家系図にまとめて、次世代に伝えることもできます。

戸籍の記録からは驚くほどその人の人生の歴史や当時の生活の様子をかいまみえます。昭和初期くらいの戸籍を見ると、当時はいかに子だくさんが普通だったかが分かります。

そして、子どもが大人に育つのが決して当たり前でないことも分かる・・・つまり小さいうちに亡くなってしまった記録が多いことに驚くかも知れません。

また、養子が多いことも昔の戸籍の特徴です。また残念ながら戦災で焼失してしまい、それ以上の記録を残ってきてないこともあります。

これらから分かることはなにか?それは、今あなたが生きていて、そしてあなたの子ども達・・甥や姪が生きているのは決して当たり前ではないということです。色んなことがありながら、戦争も乗り越え子ども達や若い世代が命を散らせてしまったことも乗り越えて、あなたまで命がつながってきました。

終活とは、次の世代へバトンを受け継ぐことでもあります。家系図を作成することを通じて、今の自分たちがいることが決して当たり前ではないことを伝えられるのも、家系図作成のメリットです。

3 終活をはじめた両親との共通の目標として

親の終活はどうしても、親に終活を「してもらう」という目線になってしまいがちです。それは、ある程度仕方のないことです。遺言を書くのは法律上も本人しか書けません。介護施設も本人がまだまだ元気なうちに勝手に探し回るわけにも行きません。

やはり本人に自分が将来、介護施設に入居するとしたらどんなことがいいのか、本人の預貯金のなかで予算は大丈夫なのか「自主的に考えてもらう」ことが必要でまわりはそのサポートしかできません。

遺言や介護施設探しだけではなく、終活全般でまわりの人はサポートしかできず、また勝手に本人の意思を無視して主導してもいけないのです。しかし、家系図の作成はどうでしょうか。この作業は両親と一緒にしてもいいですし、自分が作成をリードして完成した家系図を親にプレゼントするのもいいでしょう。

家系図の作成は大げさに言えば過去への冒険でもあります。自分たちのルーツを探るとはそういうことです。終活のなかでは珍しく、「楽しい」という言葉も正面から当てはまる作業でもあります。こういう楽しい作業をとっかかりにしてエンディングノートや遺言の作成など他の終活へつなげられるのも家系図作成のメリットです。

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