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おひとりさまの終活時に検討。死後事務委任契約
終活とは、老後の生活から亡くなった後全体をみていく作業です。その中で任意後見、遺言、エンディングノートなど人に合わせ様々な手段を使い分けます。死後事務委任契約もその中の手段の1つ。とくに単身者の方に向いていることが多いです。
死後事務委任契約とはどんな方法でどんなメリットがあるのか?一緒に見ていきましょう。
死後事務委任契約とは?
死後事務委任契約とは、亡くなった後に発生する様々な諸手続きを、あらかじめ第三者に委任しておく契約です。近しいご家族がいれば別ですが、もはや日本の高齢者の5、6人に1人は1人暮らしをしているような状況です。
自然に任せているばかりでは、自分が亡くなった後の葬儀をはじめ様々な支払いや手続きが滞ってしまう恐れがあります。
そこで亡くなった後、その中でも亡くなってから数週間くらいの短いスパンに発生する作業を中心に誰かに任せておくのが死後事務委任契約です。この契約を使うことで、亡くなった直後の段取りがスムーズになり、自分の希望どうりの葬儀にならなかったり人に迷惑をかけたりすることを防げることがメリットです。
死後事務委任契約で任せられる内容とは?
では死後事務委任契約で人に任せることができる手続き等とは、どのようなものがあるのでしょうか。具体的にみていきましょう。
例えばご遺体の搬送や安置の手配。死亡診断書の病院からの受け取り。診断書の受け取りなどは細かい話でもありますが、きちんと受け取り権限を証明する死後事務委任契約書がないと、病院も第三者に死亡診断書を渡せません。
当然、葬儀そのものの段取りも任せられます。お経をあげてもらうお寺さんが決まっているなら、任せる人に伝えておきましょう。ランダムに選ばれた宗派やお寺さんになることを防げます。
このお寺さんや葬儀会社とのやりとりを任せ、葬儀の日程を決めてもらったり、用意するお花や参列者にふるまう食事や飲み物の手配など段取り全般を任せ、支払いも任せることができます。
葬儀が終わったら次は行政に対する各種申請手続き。社会保険や年金の届け出などです。入院費や介護施設などの入居費用などの、払い残したものの支払いなどもしてもらうこともできます。
あとは法律上の相続人への通知。ほとんど疎遠になってはいるが相続人になる人が分かっている場合、その人への通知なども依頼することができます。
また死後事務委任契約は「契約」なので、その内容もあなたと任せる人との相談で決められます。自分にあった契約内容を定められるのも死後事務委任契約のメリット。この契約内容を適正なものにするためにも、司法書士をはじめとした専門家に死後事務を委任するのが良いでしょう。
他の手段との関連性
死後事務委任契約は、実務上ほかの制度と組み合わせられて使われることが多いです。ほかの制度とはどういうものか?例えば遺言です。
遺言で財産の分配の仕方を決めておき、また司法書士などに遺言執行者になってもらう。遺言執行者は遺言の内容を実現するため、預貯金の払い戻しをしたり不動産の名義変更をしたりする立ち位置の人です。
この遺言執行者としての立場でやり切れない部分。例えば葬儀の手配などもできるよう補完する意味で死後事務委任契約も締結しておく使われ方をします。また任意後見との相性もいいです。
任意後見とは、自分が認知症になった時に第三者に財産管理を任せる制度。基本的には、ご本人が亡くなると財産管理の権限が亡くなるので、亡くなった直後の事務を行う権限の根拠をきちんと作っておく意味で死後事務委任契約が利用されることもあります。