事業承継

事業承継は会社の相続。そこに個人の相続も必ずからむ!!

日本の企業のうち99%は中小企業。中小企業による雇用の数は日本全体の69%を担っていると言われています。

一方で経営者の高齢化が進み、中小企業数は法人・個人事業を合わせて平成26年には381万社だったのが平成28年に358万社となりました。減った数、23万社。コロナ前にも関わらずわずか2年で23万社が失われています。

もちろん、全てが経営者の高齢化の影響ではないでしょう。しかし2018年の時点で社長が70代以上の会社は中小企業の28.1%におよんでいます。経営者の高齢化を原因とする廃業はもはや日本経済の重大課題といっていいでしょう。

赤字で儲からない会社がつぶれるのはある意味で仕方がないことかも知れません。しかし会社の経営も順調で独自の技術も持ち、そしてなによりも従業員の方の生活をささえている会社がなくなってしまうことは創業者や株主だけでなく社会全体にとって損失です。

ではどうして会社がうまく存続できないのか。事業承継の難しさはどこにあるのか?大きな原因は後継者不足。少子高齢化の現代社会ですから容易に想像がつくと思います。しかし、原因はそれだけではありません。逆に後継者候補が「多すぎる」場合もあります。

個人の相続と比較してみましょう。個人の相続の場合は法律上、相続人になる人が決まっています。配偶者だったり、子どもだったりと決まっているのでこの中で「誰がどれだけ受け取るか」の分配がテーマになります。もちろんご家庭によって事情は違いますが「相続人以外の人が財産を受け取る」ことは個人の相続の場合はやや珍しいケース。

一方、事業承継・・つまり会社の相続は違います。親族以外の人・・つまり会社の従業員が承継の関係者になることが十分にあり得ます。創業社長に子どもがいなかったり、子どもがいても事業を継ぐ気がない、また継ぐ気があっても現時点では能力や経験が不足している場合もあります。こういうときは、やはり現在の役員を中心に従業員も事業承継問題に深く関与してきます。

関与の仕方もそれぞれ。会社の権利・・つまり株は全て創業社長の相続人が相続し、従業員は純粋に経営者としてだけ代表取締役をつとめるケース。株も従業員が引き継ぐ従業員承継のケースもあります。

このように選択肢がたくさんあることは良いことなのですが、かえって決断の難しさに繋がってしまうこともあります。そして事業承継にはもう1つ重大な難しいポイントがあります。

それは「会社の相続」と「個人の相続」が入り混じってしまうこと。創業社長の財産の中心が「自社株」であるケースを考えてみましょう。

長男を後継社長にするとしたら、全ての株を長男が相続するのが理想的です。なぜなら株は会社の経営権でもあり、株が他の相続人に散らばってしまうことは経営権が散らばってしまうこと意味になり会社経営がやりにくくなってしまうからです。

しかし、自社株の価値に比べて預貯金の金額が少ない場合はどうなるでしょうか。他の相続人が預貯金しか相続できないとすると相続人同士の公平な財産の分配ができなくなってしまい、相続問題に発展してしまう可能性があります。

また創業社長の個人で保有していた倉庫など、個人財産を会社の事業に利用しているときなども会社の相続と個人の相続が交差してしまう典型例です。このように事業承継は様々な課題が交錯するため、非常に入り組んだ複雑な作業になることが多いです。

もっとも大事なのは「検討課題の抽出」と「解決」

後継者問題や創業社長の個人の相続以外にも、事業承継には様々な課題があります。株式管理や普段はほとんど意識しない少数株主への対応の問題、債務や保証などのマイナスの財産の引継ぎの問題、事業承継を契機とした組織再編や組織改革の問題などの課題とそれに対応する解決策があります。

そこで重要なのは「何を検討課題にするべきか」のテーマ設定です。事業承継に必要な知識は当然抑えた上で、ご自身の会社において一番重要な問題や難しいはなにかを見極め、その解決により多くの力を注ぐことが大事です。

当社の代表取締役は司法書士でもあり、司法書士の立場で事業承継に携わってきました。その中で気が付いたのは「俯瞰して課題を見る大切さ」です。

税理士さんは税務面に目線が行きがちですし司法書士も登記などの法務手続きに目線が行きがちです。弁護士さんも誰かの代理人となるのが仕事の基本ですので、関係者それぞれの目線に立つよりもクライアント目線になりがちです。

私は司法書士として仕事をしながら、「事業承継は関係者全員の目線にたって考えることが必要ではないか?」と考えるようになりました。もちろんそんなことをしていたら考えることが多すぎますし、話が全く進まなくなる。なのでどの程度考えたりケアしたりするかについては絞り込む必要も出てきます。

このように「まずは大きく考えてその後絞り込む」発想が事業承継には大事だと考えています。意外にも司法書士は、普段の業務でこの考え方が自然に身につく職業でもあります。なにせ離婚や相続など感情的に複雑になる場面でお客様にハンコをいただかなくてはなりません。無事予定通り進めるには片方の目線だけでは足りず、今目の前にいる方からは物事がどう見えるのかを考えなくてはならないのです。

そして更に「心理カウンセラー」の資格も取得。関係者の中に心の状態が落ち着かない方がいても、少しでも寄り添って対応する目線を持とうと考えました。そして相手の立場に立ちながらも俯瞰して全体を見て御社の課題の本質に取り組みたい。

そんな想いから司法書士ではなくコンサルティング会社として事業承継に取り組みたい。そんな想いから当社を設立しました。課題が解決するまで御社と併走しながらサポートしていきます。

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