事業承継Q&A

1 事業承継で最初にやる作業はなんですか?

まずは「事業承継の準備が必要」「準備期間はできるだけ長くとる」。この2つを認識することだと思います。

当然ですが、各企業にはそれぞれの仕事、メイン業務があります。日々納期に追われたり、新製品を開発に取り組んだりと普段の仕事で忙しいため後回しになりがち。加えてみなさん、やはり会社のメイン業務が「会社としてやりたいこと」のはずです。

自社の商品、サービスを通じて利益を上げ社会に貢献することがやりたいことであり事業承継はその環境づくりの作業。なかなか積極的になれなくとも普通です。

しかし一方、事業承継は会社にとって必ず必要な作業。そして、経営・法務・税務・会計・資金調達・個人の相続など様々なポイントがからむ複雑な作業です。このため中小企業庁が作成した「事業承継マニュアル」では10年計画で事業承継を考えるよう記載されています。

実際に10年まで時間がとれるかは企業の事情によってさまざまですが、早めに事業承継と向き合い準備期間を長くとる意識を持つことが最初に考えばならないことです。

2 株主といっても家族しかいないのですが、それでも株主総会が必要ですか。

必要です。株主総会が必要な場面は会社法や会社の定款により定められています。この場面になったら株主同士の関係性に関わらず、株主総会を開催しなければなりません。

ただ、株主総会は株主全員の同意があればすぐに開催できるものです。自然と株主である家族が集まる機会があれば、そこで話し合って株主総会とすることが現実的かも知れません。

3 個人事業主でも事業承継はできますか

できます。個人事業主の場合は、事業に使用していた資産(車、業務用の器具・機械類など)も個人の資産となっていると思われます。

そのため、1つ1つの財産に対して個別に承継手続きをとらなければなりません。この点、会社名義の財産は株式の譲渡により承継できる株式会社との大きな違いです。

4 種類株主とはなんですか

会社法上、1つの会社からいくつかの種類の株を発行することができます。例えば配当金の額が違ったり、株主総会で議決権を行使できない株式(完全無議決権株式)、ある決議をする場合に通常の株主総会のほかに一定の種類株をもつ株主による種類株主総会の決議が別に必要な株式(拒否権付種類株式)を発行することができます。

活用することにより、普通株式を後継者に承継させつつ、拒否権付種類株式を創業社長にもたせて重要事項の決定には創業社長の同意が必要な状態を作ったりすることができます。

5 スクイーズアウトとはなんですか

スクイーズアウトとは、少数株主から株を引き上げて、会社から追い出すことを言います。方法としてはいくつかあり、例えば会社全体の株式の90%以上の株式を持っている人が使える「特別支配株式による株式等売渡請求制度」などがあります。

これは少数株主から株を買い上げる制度ですがほかにも株式の併合や株式交換なども手法として挙げられます。

6 MBO.EBOについて教えてください

MBOは「マネジメントバイアウト」の略で経営者(役員)による株式の買取のことを言います。EBOは「エンプローバイアウト」の略で従業員による株式の買取のこと。

MBOとEBOとの違いは、買い取る人がその会社の役員か従業員かの違いです。MBOやEBOを行う際にはSPC(特定目的会社)を作ってSPCが資金調達を行うことにより、役員や従業員が直接借り入れを行うことを避ける手法も使われます。

7 自社の株式はどれくらい確保すればいいですか。

株式をどれくらい保有しているかで株主総会において単独で決められることが変わってきます。過半数を保有すれば取締役等の役員を選任する決議で単独で行えるようになりますし、3分の2以上を確保することによって定款を変更する決議ができるようになります。

もちろん100%株主が望ましいですがそれが難しい場合でも、3分の2は確保するようにしたいところです。

8 持株会社を利用した事業承継とは何ですか?

持分会社とは他の会社を支配する目的で株式を保有する会社のことをいいます。事業承継の対象となる会社の株を後継者が保有するのではなく、会社を作ってその会社に株を持たせている状態になります。

持分会社を活用するメリットは持分会社が借り入れなどを行うことにより後継者が直接資金調達をするのを避けられること。その上で先代経営者から株を買い取ることにより先代経営者が現金を取得でき、遺留分に対応しやすくなったり、株式の分散を防ぐことができます。

9 株式総会や取締役会について教えてください

株主総会も取締役会も会社法に定められた会社内の会議体です。株主総会の参加者は株主。取締役を選任したり、商号(社名)などの定款記載事項を変更するなど、会社法と定款によって決議事項が決められています。

取締役会の参加メンバーは取締役。代表取締役の選定など、こちらも会社法や定款で決議事項が定められています。

また、株主総会は全ての株式会社で必ずありますが、取締役会は全ての会社にあるわけではなく定款に定めることによって設置できます。

10 株式譲渡の社内手続きについて教えてください

株式を譲渡する場合には株式譲渡契約書を当事者で締結しているのはもちろん、ほとんどの中小企業においては株式の譲渡に対して会社の承認を受ける定めを定款においています。

承認機関は株主総会や取締役会など会社によって違いますが、決議機関に合わせて株主総会議事録の承認やその承認を求める譲渡当事者から会社に対する請求などの手続きが必要になります。

keyboard_arrow_up

0368047353 問い合わせバナー 無料相談について