2022年の葬儀業の取扱件数は49万6808件。この49万6808件の葬儀も様々な形があります。終活の中では案外と見落としがちなテーマがこの葬儀に関すること。しかし全く決まってないと残された人もどうするべきか判断に迷うことがでてくるでしょう。
葬儀やお墓のことで親族間の意見が食い違って軋轢の原因になることも考えられます。やはり大まかでもいいので決めておくことによって、残された人の心理的・事務的な負担を減らすことができます。このページで少し基礎知識を知って、考えるきっかけにしましょう。
このページの目次
葬儀の種類
葬儀は一般的に大きく次の4つに分けられます。自分に合う形態を決めておくだけでも、終活としては大分前に進むと思います。
1 一般葬
昔ながらのごく普通の形式です。お通夜と葬儀、告別式を行います。ポイントは呼んで欲しい人のリスト化。昔のように仕事関係の人や友人・知人と家族ぐるみのお付き合いをすることは減ってきました。呼ぶべき人がご家族にも分からないことが大いに考えられます。
エンディングノートの一環としてリスト化できると良いと思います。
2 家族葬
呼ぶ人を家族や本当に近しい親類や友人などに限定する葬儀を「家族葬」と呼びます。
最近は多くなってきて、主流と呼んでもいいのかも知れません。人数も少なく、身内だけで食事や飲食などにこらないので、費用は一般葬にくらべて抑えやすいでしょう。
それに一般葬に出がちな「お客様を接待する」という雰囲気にならないのでアットホームな雰囲気を好む方や、家族に気を使わせて疲れさせないようにするメリットもあると思います。
3 直葬
葬儀や告別式を行わず、火葬するだけの形式です。お坊さんにお経をあげていただいて出席者が手を合わせるだけのシンプルな形式です。
故人の情報がなかったり、誰とお付き合いがあったのか分からず呼ぶ人がほとんどいないなど、家族葬までできる状態が整わないときなどはこの形式で良いと思います。
お墓・納骨の種類
お墓や納骨の形式も様々なものがありますが、ここでは代表的なものを上げていきます。
1 家墓(普通のお墓)
昔ながらの普通の形式です。馴染みがあると思いますので、気分的な安心感や納得感は一番大きいのではないかと思います。
ただ大変なのは維持管理や建墓する場合のコスト面。特に維持管理はずっと続くものであるため、残された人の生活設計や考えも大事になってきます。できれば、終活の一環として家族と話し合っておけると良いと思います。
2 公営墓地
都道府県が運営する墓地。メリットはやはり費用面や公共などで経営面でのつまづきから管理できなくなるおそれが無いこと。デメリットはやはり人気が高く、新しく墓所を手に入れるのが大変なことです。
3 永代供養
永代供養の一番のメリットは何といっても承継者がいなくとも供養できるところ。相続人はじめお墓を維持・管理する人がいない方には有力な選択肢です。
仕事などで遠方に住んでいる親類の方に、無理に維持管理をさせなくてもすむでしょう。デメリットは一定期間がたつと「合葬」になるということ。要は他の人と一緒にまとめて供養されるので、心理的抵抗が大きい人にはデメリットと言えます。
4 納骨堂
都心に多い納骨堂。普通のお墓と永代供養の中間ぐらいのイメージです。骨壺のまま土に埋めず、お寺さんで供養・管理してくれます。
デメリットとしては契約内容によっては、一定年数たつと合同で供養する形になったりすることがあること。それとお墓参りの時はやはり普通のお墓よりも狭い建物の中で手を合わせることになるため、少し落ち着かないかも知れません。
5 散骨
海や山にお骨をまく方法です。これは亡くなるご本人の好み、気持ち次第で選ばれる選択肢だと思います。
自然に還ることをすがすがしく思う人もいれば、寂しく思う人もいるでしょう。残された人からすれば確かにお墓管理の必要はありませんが、お骨が全く残らないことを寂しく思うかもしれません。
相続人はじめ親類の方がこの選択肢を積極的に選ぶのが難しいことが多いでしょうから、終活の段階ではっきりと意思表示しておく必要があると思います。
ちなみに最近は宇宙葬といって宇宙に散骨する方法もあるようです。私なら海や山はちょっといいかも思いますが、宇宙はいやです・・・。
亡くなった後の手続き
人が亡くなった直後というのは、相続人に色んな手続きが降りかかります。大変なタイミングなのだからゆっくりさせて欲しいと思いますが手続きというのは優しさゼロで事務的なものです。
この亡くなった直後の手続きを触りだけでも把握しておくと、終活に向けて親族の方と話し合ったり、ゆっくりとあなたが1人で考える時の一助になるかも知れません。ご紹介しておこうと思います。
1 葬儀社の決定、ご遺体の搬送
亡くなった先の病院に紹介してもらうなどして葬儀社を決定。ご遺体を安置場所へ搬送します。搬送の手配は、葬儀社がやってくれるでしょう。病院からご遺体を移動しなければなりませんので、早くも親族の方の手続きや様々な判断の慌ただしさがはじまります。
少しでも楽にするために、事前に葬儀社を決めておいてもいいでしょう。
2 お葬式の準備
葬儀社と打ち合わせながら、葬儀の日程や形式などを決めていきます。お花はどの程度用意するのかなどの細かいことも決めなければなりません。
エンディングノートなどで、形式だけでも決めておくとご家族の負担が減るでしょう。また死亡届の提出や火葬許可の申請などの手続き面は葬儀社の案内にそって進めましょう。
3 葬儀
葬儀当日を迎えます。特に喪主をつとめる方は忙しい一日となるでしょう。
4 社会保険はじめ、役所での各手続き
葬儀が終わると一区切り。このタイミングで悲しさや疲れがくると思います。
ですが手続き面でやらなければならないことはまだ続いてしまいます。社会保険や行政での手続き。おおむね2週間以内とされているものが多いです。
5 相続
亡くなった後の慌ただしさが終わると、相続や遺産分割、相続税納付の準備などがはじまります。司法書士、税理士などの専門家の手を借りながら進めましょう。
死後事務委任契約について
もちろん、自分が亡くなった後の手続きを頼める人がいないというケースもたくさんあります。そういう場合は、「死後事務委任契約」を検討してみてもいいかも知れません。
死後事務委任契約は葬儀や埋葬の対応、各種行政手続きを代わりに司法書士などの専門家にやってもらう契約を指します。